「数字は得意です」
「決算書も毎月しっかり見ています」
そうおっしゃる社長は少なくありません。
実際、数字に強い社長ほど、会社は成長してきています。
ただ、ここで一つ大切なことがあります。
数字に強いことと、
財務を一人で回せることは別です。
むしろ、
数字に強い社長ほど“一人財務”に陥りやすい
という現実があります。
■「数字が分かる社長ほど危ない」と言われる理由
少し意外に聞こえるかもしれませんが、
実務の現場ではよくある話です。
なぜなら、数字に強い社長ほど、
- 自分で判断できる
- 誰かに頼らなくても大丈夫
- 経営のスピードを落としたくない
と考えがちだからです。
しかし財務は、
正解を早く出すより、
間違いをしないことが重要
な分野です。
■経営判断と財務判断は似て非なるもの
社長が得意なのは、多くの場合、
- 営業判断
- 投資判断
- 人の判断
といった 経営判断 です。
一方、財務判断は、
- キャッシュフロー
- 借入返済
- 銀行評価
- 税金・資金繰りのタイミング
など、
感覚ではなく構造で考える領域 です。
ここを経営判断と同じ感覚で扱うと、
ズレが生じます。
■「合っているつもり」が一番危ない
一人で財務を見ている社長に多いのが、
「たぶん大丈夫」
「今までも何とかなってきた」
という状態です。
しかし、財務の怖さは、
- 問題が起きたときには
- すでに選択肢が少ない
という点にあります。
気づいたときには、
- 借り換えができない
- 銀行の態度が急に変わる
- 資金繰りが一気に厳しくなる
ということが起こります。
■社長一人では“視点が固定化”される
どんなに優秀な社長でも、
- 自社に対しては当事者
- 感情や思い入れがある
という前提から逃れられません。
その結果、
- 楽観的に見てしまう
- 成長前提で考えてしまう
- リスクを後回しにしてしまう
という 視点の偏り が生まれます。
これは能力の問題ではなく、
立場の問題です。
■税理士と財務コンサルは役割が違う
ここでよくある誤解があります。
「税理士がいるから大丈夫」
税理士は非常に重要な存在です。
ただし役割は明確に違います。
- 税理士:過去の数字を正しくまとめる
- 財務:未来の資金の流れを設計する
税理士が財務まで見てくれるとは限りません。
ここを混同すると、
誰も資金繰りを見ていない状態になります。
■財務を一人でやる会社に起きがちなこと
実際に、一人財務の会社では、
- 借入が場当たり的になる
- 返済額がキャッシュフローに合わない
- 銀行対応が後手に回る
- 将来の資金不足に気づくのが遅れる
といったことが起こりやすくなります。
これは、
社長が無能だからではなく、
一人で抱えすぎているから
です。
■財務は「第三者視点」が入って初めて機能する
財務がうまく回っている会社には、
必ず共通点があります。
それは、
社長以外の視点が入っていること
です。
- 社長の判断を数字で検証する
- リスクを事前に洗い出す
- 銀行目線でチェックする
この役割を担うのが、
財務の外部パートナー です。
■社長の仕事は「決断」、財務の役割は「整理」
財務のプロは、
- 社長の代わりに決断しません
- 経営を乗っ取りません
やるのは、
判断材料を整理し、
間違えにくくすること
です。
これにより社長は、
- 自信を持って決断できる
- 無駄な不安から解放される
- 経営に集中できる
ようになります。
■一人でやらない方が、経営は強くなる
数字に強い社長ほど、
一人で財務をやりたくなります。
しかし、
一人でやらない方が、
結果的に会社は強くなります。
財務は、
- 失敗してから学ぶ分野ではなく
- 失敗しないよう設計する分野
です。

